たとえばこんな聖杯戦争
「お前が、俺のマスターか?」
気が付くと、金ピカの鎧を身に纏ったなんか見覚えのある人が目の前に立ってて。俺は前後の状況も身体の痛みもぜんぶ忘れて叫んでた。
「山羊座(カプリコーン)のシュラ!?
うわマジかすっげー懐かしっ! というか古っ!」
「待てマスター。何故俺の真名を知っている?!」
いや有名ですから。
*
「貴様、素手で俺とやろうってのか、セイバー……だよな?」
「フ、いいだろう。俺の技を受けてみろ!」
「聖 剣 抜 刀」
「ぐあああああーーーーっ!!!」
「生車田飛び?!」
ってかなんでエピソードG?
「くっ、ランサーの俺がスピードで負けるだと」
「いや、普通に無理だから」
光の速さだし。
「ちっ、撤退させてもらうぜ!」
「逃げるか!」
答え:無理でした。
*
「衛宮くん! 同盟組みましょう!」
「「早っ」」
「待て凛、判断が早すぎるぞ!
少しは考慮の余地が……
余地が……(剣の丘を見ている)
……(考えている)
……無いな」
「無いのかよ」
「ああ。黄金聖闘士相手ではな……」
「ああ。黄金聖闘士だもんなあ……」
「こらそこ意気投合しない!
というかアーチャー?」
「何かね?」
「貴方記憶喪失は?」
「あ」
「というか現代の英霊なんだな」
「「あ」」
「……」
「……」
「……凛、そういう事は思っても口に出しては言わないものだ」
「え、あ、わ、私が悪いの?!
どう考えても悪いのはアーチャー、貴方じゃない!」
「く、地獄に落ちろマスター」
いや、なんでさ。
*
「ねえお話は終わり? やっちゃえ、バーサーカー!」
「うそ、桁違いじゃないの……セイバーが」
「ああ。桁違いだな。セイバーが」
「遅いぞ! バーサーカーとやら!」
「■■■■■■■■■■――――!!!?????」
「うそ!? 私のバーサーカーが? 何で!」
「光速の拳ってランクで行くと何なのだろうな」
「Exじゃないの?」
「■■■■■■■■■■――――!!!!!!」
「撲殺か……あわれな」
「うわ、容赦無ぇー」
「ふ、ふえぇえええぇん……」
「あの子泣き出したんだけど……どーしよう?」
「拾って帰れば?」
拾って帰りました。
*
「このようなふざけた結界など!」
「「割れたー!?」」
「というよりは斬った、か」
「なんでそんな冷静なのよアーチャー」
「いや、もはや驚く気すら失せてきてな」
「このシュラのエクスカリバーに断てぬものなし!」
「「キャラ違う(わ)よ!」」
何でこのネタ分かるんだ遠坂。機械音痴のくせに。
*
「なぁ衛宮、僕と手を組まないか? その……ムウは?」
「……は?」
「老師は? アルデバランは? カミュは!? アイオリアは! ああ、デスマスクでもいいっぴ!」
「慎二、お前キャラ変わりすぎ」
「兄さん、星矢好きですから……とくにハデス編」
「桜? あれいつの間に?」
追伸。
ライダーはジャンピングストーンで瞬殺されました。
*
その後。
「秘剣――燕」
「遅い!」
「キャス」
「たわけ!」
「"王の財"(ゲート・オブ・)――」
「遅いと言った!」
「聖杯の泥を――」
「聖 剣 抜 刀」
*
「終ったな……何もかも……」
「えぇ……」
「結局、何だったんだろう。この戦争」
「さぁ……」
大聖杯と山ごと切り飛ばされた柳桐寺とその周辺部を見て、俺たちは空ろな目をしていた。
思う存分に力を振るったセイバーと、なんとなく生き残ってたアーチャーは先ほど曙光の中に解けるようにして消え去り、今は俺たち二人(とイリヤ)だけ。
ああ。
ひとつ、分かった事がある。
戦いは、いつだって虚しい。